Senzoku2000’s blog

もう中年なのにも関わらず『僕の心のヤバイやつ』にドハマリした男

木下、ヤバいかもしれない……(僕ヤバKarte.142感想)

僕ヤバKarte.142で市川の小学校時代の友人、木下がKarte.117,118(9巻収録)以来の再登場となったが、ゾッとするような内容が語られたので書き残しておきたい。
 
あくまでこれは個人の憶測・邪推の類であるので、全く的外れであってもご容赦頂きたい。(むしろ的外れであってほしい。)
 

違和感だらけの再会

そもそもKarte.117における木下との下北沢での再会シーンからして違和感だらけだった。

桜井のりお『僕の心のヤバイやつ』9巻 Karte.117「僕も前に進みたい」
・私立超進学校に入学したのに塾通い
・自宅から遠く離れた塾に通っている
この2点において猛烈に違和感を覚えた。
 
この時点でストーリー上の要点は、
「市川が旧友と再会することによって自身を見つめ直し、進路を考える」
という事であり、上記2点を指摘することはさながら重箱の隅を突くものであったが、
塾通いについての回答が今回(Karte.142)で示されて、違和感がぶり返してしまった。
 

エスカレーターを降りるということ

そもそも何故、中学受験をするのかを整理したい。
 
最終的なゴールを難関大学合格とした場合、中学受験のメリットとは
・私立中高一貫校に入学して高校受験を省き、大学受験に注力すること
もしくは
・私立大学付属校に入学してその後の受験全てを省くこと
であり、中学受験をして再度高校受験をすることは、折角苦労して手に入れたメリットをみすみす捨てることであり、通常考えられない。
 
もちろん「より上位の学校に入り直したい」という理由も考えられるが、多くの中高一貫校のカリキュラムは中1〜高2までの5年間で高3までの学習を全て済ませて、高3の1年間を大学受験に注力するというものなので、外に出るメリットは少ない。
あくまでゴールは大学であって高校ではない。まして木下は「私立の超進学校」(Karte.118)に通っている以上、余計に考えられない。
 
即ち、この学業面でのメリットを捨ててまで外に出る理由が別にある、ということになる。
 

遠い塾に通うメリット?

塾帰りに下北沢で再会した、というのも違和感がある。

僕ヤバ関係鉄道路線図(筆者作成・一部路線、駅のみ記載)
木下は市川と同小なので、小学校時点では洗足周辺に住んでいた。
下北沢付近に転居した、という可能性が考えられたが木下妹が十二中に通学していることが今回示され、現在も洗足に居住していることが分かる。
 
洗足から程近い自由が丘には学習塾が集中しており、夏期講習などへの通いやすさという点でも、通常は自由が丘に通うのが負担面で妥当と思われる。
 
現時点では「学校が下北沢に近い」という理由が妥当のように思える。
駒場東大前駅付近に高偏差値の男子校が複数存在する)
 

妹の立ち位置

木下は自身の妹が公立中に通うことについて「良い学校へ行かずとも幸せになるタイプ」と断言した。

桜井のりお『僕の心のヤバイやつ』Karte.142「僕は雑念だらけ」
しかし、萌子が自身の境遇を踏まえて「我慢してるかもよ」と指摘した。木下妹への同情かつ木下への糾弾である。

桜井のりお『僕の心のヤバイやつ』Karte.142「僕は雑念だらけ」
自身は学費の高い中高一貫校に通いながら、更に塾費用までを負担させている状況で、妹に良い学校へ行かなくて良い、と言い切ってしまったのは、学業に対する負担の不均衡に目を瞑る欺瞞である、と指摘されたのである。
 
実際、木下妹がどう考えているかは明かされていないが、萌子にしてみれば看過出来ない発言だろう。
 
 

木下の抱える問題

木下は中学受験失敗者の市川と対照の存在として登場した。
ところが学業面のメリットを捨て、更なる費用をかけてまで別の高校を受ける木下の姿は、彼にとって中学受験が成功ではなく失敗だった、ということを物語っている。
 
彼が高校受験に挑む理由。もっとも考えやすいのは『中学に彼の居場所がない』という可能性である。図書館で山田に出会う前の市川の状況である。
 
受験は家庭を崩壊させることがある。
現に市川家は瓦解しかけていたが、幸いにも山田杏奈の登場で持ち直すことができた。
木下家について現在出ている情報をつなぎ合わせると、市川家・関根家以上に危機的な状況であることが想像される。
良き結果になることを祈るばかりである。
 
そしてこれらの邪推が的外れであることを祈るばかりである。